魚さん、「わたし男になる・・・」
世の中には、たった10日間で性転換できる動物がいます。それはブルーヘッドベラという魚。
ブルーヘッドベラとはカリブ海のサンゴに小さな群れで生きている魚です。名前の由来にもなっている青い頭はオスだけが持っていて、メスだらけの黄色いハーレム状態の中で暮らしている様子は、まるで一夫多妻制のよう。
しかし、この群れに何かしらの事情でオスがいなくなったとき、メスたちは新しいオスを探していると思いますか?
普通に考えると、「新しいオスを探して・・・」となるところですが、この魚はどうやら違うようです。それは、メスがオスになるという異常な現象が起こり、10日以内にメスの卵巣は精子産生精巣に変わり、21日以内には完全にオスの容姿になるという事実です。
動物の性は生まれながらに決まっており、その性別は一生涯変わらないと思っている人がほとんどではないでしょうか。しかし、実は魚の500種ほどは環境によって自然に性転換ができるのです。
今回紹介したブルーヘッドベラも、メスとして成熟した後でもオスに性転換する事ができます。できるというより、「する」それが自然なのです。
群れに青色の頭(オス)が見えなくなった途端、黄色い容姿を持ったメスたちの中で一番大きなメスが性転換を始めるようです。
性転換の仕組み
オスが消えて数時間後、群れの中でいちばん大きなメスはオスのような振舞いを始め、1~2日で群れの中で優位に立つようになります。この頃、体内では女性ホルモンが低下し、女性としての役割を失っていくそう。さらに3~4日経つと卵巣閉鎖が見られ、日が経つごとに精巣組織が観察できたり精子が作られるように!21日以内には頭も青くなります。
これはなんでも、半分メス、半分オスのような事態になるわけではなく、独特な細胞再プログラミングが起きているとのことです。
性転換する魚の生殖腺は男性と女性の両方の組織を含むので、どちらか一方がもう一方を超えたときに性の変化が起こります。
また性転換できない動物は、男性はY染色体上の遺伝子を介して性を決定するのですが、この遺伝子は男性ホルモンを放出するため、赤ちゃんを男性として発育させる胚の形成を引き起こすようです。
まとめ
オスを失った群れの中でのメスの変化、いかがだったでしょうか。10日間で性転換できるなんて驚きですよね。人間じゃとても考えられません。細胞レベルの話で少し難しかったかもしれませんが、面白い話なのでぜひお友達にも話してみてくださいね。
(References:THE CONVERSATION)